動かしたのは無料ソフト側だけ:検証の範囲と条件
この記事は、VideoProc Converter AI と無料の動画変換ソフトのどちらを選ぶかを、対応形式・GPU支援・無料版の制限から整理したものです。2026年10月13日に、無料ソフト側の代表として FFmpeg を実際に動かし、変換にかかる時間・出力サイズ・GPUエンコードの可否を記録しました。
VideoProc Converter AI は動かしていません。同製品についての記述は、公式の製品ページ・購入ページ・公式サイト内の比較記事に書かれていた内容の整理です。そのため、この記事は「どちらが速いか」には答えていません。答えているのは「無料ソフトだけでどこまでできるか」と「そのうえで製品版に払う理由が残るか」の2点です。
検証の条件は次のとおりです。
- 環境: Windows 11 Home/Intel Core i7-14700F(内蔵GPUなし)/NVIDIA GeForce RTX 4070 Ti SUPER/メモリ32GB
- ソフト: FFmpeg 9.0.2(gyan.dev の full build。winget で導入したもの)
- 素材: 自作の解説動画(1920x1080・30fps・H.264+AAC・約3Mbps)。6分20秒の全編(152.0MB)と、その先頭3分を切り出したもの(69.4MB)
- 変換: HEVC(H.265)をCPUとGPUで、WebM(VP9)をCPUで、各1回。1本ずつ順番に実行
試していないことも先に挙げておきます。
- 4K・HDR・カメラ特有の形式の素材
- 操作画面のある無料ソフト(HandBrake など)
- 同じ変換の繰り返し計測(時間は各1回の値)
素材はスライド中心の解説動画で、動きの多い実写より圧縮しやすい部類と考えられます。実写では時間もサイズも変わる前提で読んでください。評価の方針は運営方針・評価基準にまとめています。
FFmpegで変換した結果:6分20秒の素材も最後まで通った
実行した変換は3種類です。HEVC のCPU変換は libx265(preset medium・crf 28)、GPU変換は hevc_nvenc(preset p5・cq 28)、WebM は libvpx-vp9(crf 32・cpu-used 2)と Opus 音声の組み合わせです。解像度とフレームレートは素材のままにしました。
| 変換先(エンコーダ) | 3分00秒の素材(69.4MB) | 6分20秒の素材(152.0MB) | 素材1分あたりの時間 |
|---|---|---|---|
| HEVC・CPU(libx265) | 51秒 → 14.1MB | 1分48秒 → 29.1MB | 約17秒 |
| HEVC・GPU(hevc_nvenc) | 13秒 → 40.1MB | 27秒 → 84.1MB | 約4秒 |
| WebM・CPU(libvpx-vp9) | 2分15秒 → 31.3MB | 4分44秒 → 65.6MB | 約45秒 |

この結果から読み取れることは3つあります。
- 長さの制限に当たらない … 6分20秒の素材は、3通りの変換すべてで全長(380.4秒)が出力に残りました。VideoProc Converter AI の無料版にある「1本5分」のような枠は、FFmpeg にはありません
- 待ち時間は素材の長さにほぼ比例する … 3分と6分20秒で、素材1分あたりの時間はほぼ同じでした。変換したい素材の合計時間が分かれば、待ち時間を見積もれます
- WebM(VP9)は時間がかかる … 同じ素材で、HEVC のCPU変換の2.6〜2.7倍かかりました。WebM が要る場面が決まっていないなら、HEVC や元の H.264 のままで困らないかを先に確かめる価値があります
ファイルサイズは、エンコーダごとに設定が違うので、変換先どうしの優劣としては読めません。参考として、3分の素材で画質スコア(VMAF。元の素材にどれだけ近いかを0〜100で表す指標)も測りました。HEVC・CPU が95.7、HEVC・GPU が96.7、WebM が93.8です。どれも近い帯に収まっていますが、同じ値にそろえた比較ではありません。

コマンドと出力の全文は、実行ログ(テキスト)に置いています。
GPUエンコードは無料ソフトでも動いた。ただしファイルは約2.9倍になった
「GPU支援があるから有料版を選ぶ」という決め方は、今回の結果からは支持できませんでした。FFmpeg でも、NVIDIA のGPUを使う HEVC エンコーダ(hevc_nvenc)がそのまま動いたためです。所要時間はCPU変換の約4分の1でした(6分20秒の素材で1分48秒→27秒)。
一方で、GPUで書き出したファイルは、CPU変換の約2.9倍の大きさになりました(29.1MB に対し 84.1MB)。画質スコアはGPU側がわずかに高く(96.7 と 95.7)、設定しだいで差は変わります。今回は1通りの設定しか試していません。それでも、容量を減らすことが目的の変換なら、時間がかかってもCPU変換のほうが目的に合う結果でした。
GPUエンコーダは、ソフトが対応していても、PCに対応するGPUが無ければ使えません。今回の FFmpeg には Intel 用(hevc_qsv)と AMD 用(hevc_amf)のエンコーダも入っていましたが、どちらも1秒の試しエンコードでエラーになりました。このPCのCPUには内蔵GPUが無く、AMD のGPUも載っていないためです。

VideoProc Converter AI 側は、公式の製品ページ(2026年10月13日取得)に、変換・圧縮について「47倍の超高速処理」、ダウンロード機能の説明に「GPU高速化技術」という表記があります。ただし、何と比べて47倍なのか、どのGPUで有効なのかは、製品ページから読み取れませんでした(要確認)。
加えて、公式サイト内の無料版と製品版の比較記事(2026年10月1日取得)では、高速変換が無料版の対象外とされています。無料版で測った速さは、製品版の速さとして扱えません。この点は無料版の制限の記事にまとめています。
素材・月の変換量・GPUの有無から行き先を決める
ここまでの結果と、VideoProc Converter AI の公式の記載を合わせると、行き先は次の表で決められます。自分に近い行を選んでください。
| 素材の形式・長さ | 月の変換量 | PCのGPU | 行き先 | 決め手 |
|---|---|---|---|---|
| MP4・MOVなど一般的な形式/1本5分以内 | 数本 | 問わない | 無料(VideoProc の無料版か、無料の変換ソフト) | 無料版の1本5分の枠に収まる |
| 一般的な形式/1本5分を超える | 数本 | 問わない | 無料の変換ソフト | 今回の FFmpeg は6分20秒を最後まで変換できた(CPUで1分48秒)。VideoProc の無料版は1本5分まで |
| 一般的な形式/1本5分を超える | 合計で数時間ぶん | NVIDIA のGPUあり | 無料の変換ソフトのGPUエンコード(コマンド入力ができる場合) | 今回は素材1分あたり約4秒。ファイルはCPU変換より大きくなった |
| 一般的な形式/1本5分を超える | 合計で数時間ぶん | 専用のGPUなし | 無料の変換ソフトで1本測り、月の待ち時間を計算してから決める | 今回のCPU変換は素材1分あたり約17秒。CPUの性能で変わる |
| WebM(VP9)で書き出したい | 問わない | 問わない | 無料の変換ソフト。時間は長めに見積もる | 今回は素材1分あたり約45秒。VideoProc の製品ページの形式一覧には「WBEM」の表記がある(WebM の誤記とみられる)が、入力か出力かは読み取れず要確認 |
| 4K・HDR・カメラやドローン特有の形式 | 問わない | 問わない | 無料の変換ソフトで1本読み込めるか試し、だめなら VideoProc の無料版(5分以内の素材)で試す | 今回は試していない。公式は8K/4K/HDRと500種類以上の動画形式に対応と表記 |
| 形式を問わず、コマンド入力は避けたい | 問わない | 問わない | 操作画面のある無料ソフトを試し、足りなければ VideoProc の製品版 | 操作画面のある無料ソフトは今回動かしていない |
| 変換に加えて、画面録画やAI高画質化も使う | 問わない | 問わない | VideoProc の無料版で使う系統を試してから、製品版を検討 | 録画とAI高画質化は今回の検証の範囲外。系統ごとの無料版の枠は無料版の制限の記事へ |
月の待ち時間は、「月に変換する素材の合計時間(分)×素材1分あたりの秒数」で見積もれます。素材1分あたりの秒数に、6分20秒の素材から求めた値(HEVC・CPU 17.1秒、HEVC・GPU 4.3秒、WebM 44.9秒)を当てはめると、次のようになります。
| 月に変換する素材の合計 | HEVC・CPU(17.1秒/分) | HEVC・GPU(4.3秒/分) | WebM・CPU(44.9秒/分) |
|---|---|---|---|
| 60分 | 約17分 | 約4分 | 約45分 |
| 600分(10時間) | 約2時間51分 | 約43分 | 約7時間29分 |
この数字は、今回のPCと素材での目安です。CPUやGPUが違えば変わるので、自分のPCで1本だけ変換して時間を測り、同じ式に入れ直してください。
今回の環境では、月に60分ぶん程度なら、CPUだけでも待ち時間は20分に届きません。GPUの有無が効いてくるのは、月に何時間ぶんもまとめて変換する使い方です。
対応形式は「数」では比べず、自分の素材が開けるかで確かめる
対応形式の広さは、数字では比べにくい項目です。今回の FFmpeg は、読み込める形式(demuxer)を373、書き出せる形式(muxer)を186と表示しました。VideoProc Converter AI の製品ページには「500種類以上の動画形式に対応」とあります。ただし数え方がそろっていないので、数の大小では優劣が決まりません。
判断に使えるのは、自分の素材が開けて、欲しい形式で書き出せるかどうかです。今回確かめたのは、1080p・H.264 の MP4 から、HEVC(MP4)と VP9(WebM)への2通りにとどまります。カメラやドローン特有の形式、4K・HDR の素材を扱う人は、自分の素材を1本通して確かめてください。
VideoProc 側で確かめる場合は、無料版の1本5分の枠が使えます。5分以内に切った素材で、形式が合うか・音がずれないか・色が変わらないかを見る使い方です。ただし「5分」の読み方は公式内で割れているので、先に無料版の制限の記事で確認しておくと手戻りが減ります。
製品版に払う理由として残るものと、払う額
変換と圧縮だけなら無料ソフトで足りる、というのが今回の結果です。それでも VideoProc Converter AI の製品版が候補に残るのは、次のような人です。
- コマンド入力を避けたい … FFmpeg は設定をすべて文字で指定します。今回も、エンコーダ名・画質の値・音声の扱いを自分で書きました。この手間が、無料ソフトを使うときの実質的なコストです
- 変換以外も1本で済ませたい … 画面録画やAI高画質化まで使うなら、用途ごとに別の手段を探す手間が減ります。系統ごとの向き不向きはできることの記事で整理しています
- 5分を超える素材を、同じ画面操作で繰り返し変換したい … 無料版では1本5分の枠が毎回かかるため、製品版が前提になります
払う額は、当サイトが2026年9月7日に公式の購入ページから取得した値で、永久ライセンスが7,880円(通常10,880円・PC1台)、年間プランが初年度5,280円(PC3台)です。どちらも税込で、30日間の返金保証の記載があります。
2026年10月10日の定点確認でも、年間プランは5,280円、永久ライセンスは通常10,880円・セール表示6,980〜7,880円の範囲で、前週までと変わっていませんでした。
どちらが安いかは、台数と年数で入れ替わります。1台で2年以上使うなら永久ライセンス、複数台で短い期間なら年間プランが安くなる計算です。年間プランの更新額が公式ページ内で5,480円と「同額」に割れている点も含めて、料金の総額比較で台数と年数ごとの総額を出しています。
よくある質問
無料の変換ソフトだけで足りるかは、どう見極めればいいですか?
自分の素材を1本、無料の変換ソフトで変換してみるのが早道です。見るのは次の3点です。
- 最後まで変換できたか
- 待ち時間は許容できるか
- 変換後に、音のずれや色の変化がないか
今回の FFmpeg では、1080p・H.264 の6分20秒の素材を、HEVC へCPUで1分48秒で変換できました。3点とも問題がなく、コマンド入力が苦にならないなら、有料版を買うかどうかは変換以外の機能を使うかで決まります。
GPUエンコードは、どんな人に効きますか?
月に何時間ぶんもの素材をまとめて変換する人です。今回の環境では、HEVC への変換が素材1分あたりCPUで約17秒、GPUで約4秒でした。月に60分ぶんなら差は13分ほど、600分ぶんなら2時間あまりの差になります。
ただし今回の設定では、GPUで書き出したファイルがCPU変換の約2.9倍になりました。容量を減らしたい変換には向きません。
VideoProc Converter AI の無料版で、変換の速さを確かめられますか?
公式の記載を読む限り、確かめにくいと考えてください。無料版の変換・圧縮は1本5分までで、公式サイト内の比較記事(2026年10月1日取得)では、高速変換が無料版の対象外とされています。
無料版で確かめられるのは、形式が合うか・仕上がりが許容できるかまでです。製品版の速さは、今回の検証でも測っていません。
画面録画も無料で済ませられますか?
録画は今回の検証の対象外です。公式の記載では、VideoProc Converter AI の無料版の画面録画には透かしが入ります。透かしなしで録りたいだけなら、Windows標準のゲームバーや OBS Studio のような無料の手段が先の候補です。
録画と変換を1本のソフトで続けて扱いたい場合に、製品版が候補になります。録画を含む系統ごとの整理はできることの記事にあります。
永久ライセンスと年間プランは、どちらを選べばいいですか?
台数と年数で決まります。永久ライセンスはPC1台、年間プランはPC3台まで使えるため、1台で2年以上使うなら永久ライセンス、複数台で短い期間なら年間プランが安くなります。金額と分かれ目の計算は料金の総額比較を見てください。
