この記事が扱う7つの場面と、先に断っておくこと
AIまわりで手が止まる場面は、意外と決まっています。この記事では、次の7つを扱います。
- AIに頼んでも、答えが浅いまま返ってくる
- AIに旅行の予定を組ませたら、行き先が多すぎた
- 調べ物に使うAIを、どれにするか決められない
- 文章AIのツールに課金するか、無料のままにするか
- 職場のAIを、CopilotとGeminiのどちらにするか
- 動画ソフトを、買い切りにするか年額で払い続けるか
- 文字起こしアプリを、解約するか乗り換えるか
7つは中身こそ違いますが、止まる理由は共通しています。道具どうしを先に比べ始めて、自分の側の条件を決めていないことです。この記事では、その条件を「物差し」と呼び、場面ごとにどの物差しを当てればよいかを整理します。
ツールの順位付けはしません。料金や無料枠の数字も、この記事では繰り返しません。数字は取得日つきで整理している個別の記事にリンクで渡すので、物差しを決めたあとにそちらで確かめてください。
同じ題材を動画でも扱っていますが、記事は「あとで引いて使う」向けに組み直しました。場面から行き先を引く早見表と、手順を番号で追える形を中心にしています。
場面から引く早見表:先に決める自分の条件と、次に読む記事
いま止まっている場面を左の列から探し、右へ読んでください。真ん中の「先に決める自分の条件」は、どのツールも調べずに、自分のことだけで答えられる問いにしてあります。
| 場面 | 止まっているときの様子 | 先に決める自分の条件 | 決めたあとの行き先 |
|---|---|---|---|
| AIに頼む | 言い方を変えて何度も頼み直している | 答えに欠けている項目は何か | 欠けた項目を足す。頼み方の型はAIプロンプトのコツ |
| 旅行の予定を組ませる | 行き先が多すぎて、1日が移動で埋まる | 移動にかけてよい時間の上限 | 上限を先に書いて組み直す。旅行プランの書き換え例はAIプロンプトのコツ |
| 調べ物のAIを選ぶ | どのAIの答えを信じるか決められない | 自分が知るだけか、人に伝えるか | 人に伝えるなら出典を開いて確かめる。手順はAIハルシネーション対策 |
| 文章AIに課金する | 無料のままか有料ツールかで止まる | 月に書く本数と、1本の長さ | 少なければ無料のまま。多ければ短文か長文かでCatchyとTranscopeの比較 |
| 職場のAIを選ぶ | 性能比較を読んでも決着がつかない | 1日でいちばん長く開いている画面 | その画面に入っているAI。主力を1つに決める考え方はAIの使い分けは用途別 |
| 動画ソフトの払い方 | 毎年の更新のたびに迷っている | あと何年使うつもりか | 買い切りの価格を年額で割り、分かれ目の年数を出す。価格はFilmora無料版の制限とVideoProc Converter AIの料金 |
| 文字起こしアプリをやめる | 解約ボタンの前で止まっている | やめたい理由はどれか | 今のアプリで直る理由か、替えるしかない理由か。行き先はNottaの代替は必要? |
表の使い方で大事なのは、右の列から読まないことです。行き先の記事を先に開くと、また道具どうしの比較から始めることになり、止まった場所に戻ります。
当てはまる行が複数あるときは、いま一番時間を取られている行を1つだけ選んでください。物差しは場面ごとに1本ずつ決めるもので、まとめて決めようとすると、それ自体が新しい迷いになります。
頼むときの物差し:答えに欠けている項目を、症状から逆引きする
AIへの依頼は、注文票のようなものです。空欄のまま出せば、AIはそこを一般論で埋めて返します。言い方を変えて頼み直しても空欄が埋まらなければ、答えの浅さは変わりません。
どの欄が空いているかは、返ってきた答えの症状から逆にたどれます。
- 一般論ばかり返ってくる: 前提の条件と、誰が読むかが空欄
- 場面に合わない答えが返ってくる: 何のために使うかが空欄
- 受け取るたびに形を直している: 出力の形式が空欄
空欄に何を書けばよいか、どう書き換えるかの実例はAIプロンプトのコツにまとめています。ここでは、自分ではどの欄が空いているか気づけないときの手当てだけ足します。
依頼の最後に「足りない情報があれば、先に質問して」と一言添えてください。空欄があれば、AIの方から聞き返してきます。質問に答えてから書かせれば、空欄を自分で探す手間が減ります。
旅行の予定づくりは、この空欄が特に見えにくい例です。行き先の候補はいくらでも出てきますが、移動にかかる時間の上限は、こちらが書かない限り入りません。そのまま組ませると、行き先を詰め込みすぎて1日が移動で埋まります。
上限は最初の依頼に書きます。たとえば「1日の移動は3時間まで」と先に渡せば、近い場所どうしでまとまった案が返ってきます。後から言うと、毎回ゼロから組み直しになります。
ただし、AIが出す所要時間は目安です。組み上がった予定の移動時間は、地図アプリで確かめてください。頼むときの物差しは「空欄を埋める」までで、最後の数字は自分で確かめる、という分担です。
選ぶときの物差し:道具を比べる前に、深さ・量・いつもの画面を測る
服を買う前にサイズを測るのと同じで、道具を比べる前に自分の寸法を測ります。測る場所は、調べ物なら深さ、文章なら量、職場のAIならいつも開いている画面です。
調べ物は「知るだけか、人に伝えるか」で深さを決める
自分が知っておくだけなら、検索つきのAIでざっと要約を読めば足ります。会議で話す、人に送る、資料に載せる、のように誰かに伝える話なら、出典まで確かめる深さが要ります。
深く確かめるときは、出典のリンクを1つ開いて、AIの答えと同じことが書いてあるかを見てください。出典が付いていても、要約の段階で意味がずれることがあります。確かめ方の手順はAIハルシネーション対策に書いています。
動画では検索AIを2つ例に挙げましたが、どれを使うかより先に深さを決めるほうが早く決まります。深さが決まれば、要るのは「ざっと読める」機能か「出典をたどれる」機能かが自然に絞れるからです。
文章AIは「月に何本、どの長さを書くか」で量を測る
課金するか迷ったら、月に何本書くかを先に数えてください。月に1〜2本なら、無料のAIチャットで足りることが多いです。よく使う頼み方をメモに残して貼るようにすれば、無料のままでも自分用のテンプレート代わりになります。
本数が多い人は、1本の長さで分かれます。広告文やSNS投稿のような短文をたくさん書くなら、型で量産するタイプのツールが合います。検索で読まれる長い記事をたくさん書くなら、キーワードや見出しの分析機能を持つタイプです。
短文向けのCatchyと長文向けのTranscopeを、1本あたりの単価にそろえて比べた計算はCatchyとTranscopeの比較にあります。無料の汎用AIも含めた課金の単位の違いはAIライティングツール比較を見てください。
職場のAIは「1日でいちばん長く開く画面」で決める
CopilotとGeminiを賢さで比べても、どちらも更新が速く、決着がつきません。そこで物差しを、1日でいちばん長く開いている画面に変えます。
- ExcelやTeamsを開いている時間が長い: マイクロソフト側の職場なので、Copilotが近い
- Gmailやグーグルの文書ツールを開いている時間が長い: グーグル側の職場なので、Geminiが近い
いつも使う画面にAIが入っていれば、資料を別の場所へ運ばずに頼めます。賢さの差より、呼び出す手間の少なさのほうが毎日効いてきます。どの画面でどこまで使えるかは契約しているプランで変わるので、自分の職場の契約で確かめてください(要確認)。
職場で使う前に、もう1つ確かめることがあります。会社が認めているAIか、社内の資料を入力してよいかです。社内のルールで決まっていることが多いので、ツールを決めるより先に確認してください。
払う・やめるときの物差し:財布の入口は使う年数、出口はやめる理由
お金の場面は、入口と出口に分かれます。入口は払い方、出口は解約です。どちらも、価格表を眺めるより先に自分の側の数字か理由を1つ決めると、迷いが短くなります。
入口:買い切りか年額かは、割り算1回で分かれ目が出る
年額で毎年更新しているソフトは、何年使うかで得な払い方が入れ替わります。分かれ目は、次の手順で出せます。
- 買い切りの価格を調べる: セール中の価格かどうかも控えておく
- 年額で割る: 割る年額は、いちばん安い年間プランの、2年目以降も払い続ける額にそろえる
- 小数点以下を切り上げる: 出た年数が分かれ目。その年数以上使う予定なら、合計は買い切りのほうが安くなる(ちょうど割り切れたときは、その年数で同額)
1年だけ様子を見たいなら、年額のほうが身軽です。やめたくなったときに、払った分を回収しきれずに終わる心配がありません。
注意したいのは、買い切りの中身です。今後のアップデートまで含まれるかどうかは、製品ごとに違います。割り算で買い切りが安く出ても、更新が別料金なら比べ方が変わるので、買う前に含まれる範囲を確かめてください。
FilmoraとVideoProc Converter AIで買い切りの中身がどう違うかはFilmoraとVideoProcの比較で整理しています。実際の価格と年数別の総額は、FilmoraならFilmora無料版の制限の計算の節、VideoProc Converter AIならVideoProc Converter AIの料金にあります。
出口:解約ボタンの前では、やめたい理由を先に仕分ける
解約ボタンの前で止まるのは、やめたい理由が混ざったままだからです。理由を仕分けると、乗り換えずに直るものと、替えるしかないものに分かれます。
- 今のアプリのままでも直る余地がある: 月額が重い(プランと使う量を見直す)、手直しが多い(録り方を変える)、機能を持て余している(使う機能を絞る)
- 替えるしかない: 無料枠を使い切った、録音を外部のサービスに出せない事情がある
前の3つは、乗り換えても同じ悩みがついてくることがあります。後ろの2つは、方式そのものを変えないと解決しません。理由ごとの乗り換え先はNottaの代替は必要?で整理しています。
押す直前にもう1つ。残しておきたい文字起こしは、解約の前に書き出しておいてください。解約後にデータがどう扱われるかはサービスごとに違うので、先に書き出しておけば、どちらに転んでも困りません。
物差しを決めても止まるときの手当て
物差しを当てようとしても、うまく決まらないことがあります。止まり方は、おおむね3つです。
- 自分の条件に答えられない: 月に何本書くか、あと何年使うかが分からない場合です。書いた本数、そのソフトを開いた日、頼み直した回数のように、物差しに直結するものだけを書き留めます。記録した本数や日数が、そのまま物差しになります。
- 物差しを当てても候補が2つ残る: どちらも条件を満たすなら、戻しやすいほうから試します。無料で試せる、月額ですぐやめられる、といった出口の軽さで選べば、外れても損が小さく済みます。
- 一度決めたのに、また迷い始めた: 物差しそのものが変わったかを見てください。仕事が変わった、書く量が増えた、のように自分の側が変わったときだけ選び直します。新しい機能の発表のたびに選び直す必要はありません。
物差しが無いまま道具の情報を増やしても、比べる材料が増えるだけで、決める材料にはなりません。
よくある質問
比較記事やランキングを読んでも決められないのはなぜですか?
比較記事は、道具どうしの違いを並べるところまでしかできないからです。どの違いが自分にとって重いかは、読む人の条件で変わります。先に自分の物差しを1本決めてから読むと、比較表のどの行を見ればよいかが絞れて、読み終わったときに決められる状態になります。
1つのAIで全部済ませたい場合も、場面ごとに物差しを分けますか?
主力のAIを1つに決める場合も、場面ごとの物差しは分けたままにしてください。たとえば、調べ物の深さが「人に伝える」なら、主力のAIでも出典を確かめる手順は省けません。主力をどう決めるか、2つ目をいつ足すかはAIの使い分けは用途別で扱っています。
職場で、個人で契約しているAIを使ってもよいですか?
まず会社のルールを確認してください。会社が認めているAIか、社内の資料を入力してよいかは、職場ごとに決まっていることが多いためです。認められていない場合は、使い勝手の良し悪しより先に、そのルールが物差しになります。
「足りない情報があれば先に質問して」を毎回書くのが手間です
よく使う頼み方と一緒にメモに残しておき、依頼のたびに貼るのが手軽です。AIによっては、毎回の前置きを設定に登録しておける機能もあります。どちらの方法でも、一度残してしまえば手間はほとんどかかりません。
