比べた範囲:字幕まわりの公式記載と、動かしていない部分
この記事は、字幕作成ツールを「音声から字幕を起こせるか」「できた字幕を動画に載せられるか」の2点で比べたものです。材料は各社の公式ページの記載で、取得日はすべて2026年10月8日です。実機で字幕を生成したり、認識の精度を測ったりはしていません。
参照したのは次のページです(いずれも取得日 2026-10-08)。
- Filmora 自動字幕起こしの機能ページ … 対応言語、SRT の書き出し、翻訳、無料で使えるかの FAQ
- Filmora AIクレジットの消費ルール … 自動字幕起こしの消費量
- Filmora 購入ページ … プランごとの AI クレジット
- VideoProc Converter AI 英語の製品ページ … 字幕機能の説明
- VideoProc Converter AI 英語の Free vs Full 比較ページ … 無料版での字幕の扱い
- VideoProc Converter AI 日本語の製品ページ・日本語の購入ページ … 字幕の記載の有無
- YouTube ヘルプ:自動字幕起こし・YouTube ヘルプ:字幕のダウンロード
- Vrew 料金ページ
VideoProc Converter AI の字幕機能は、英語の公式ページを基準にしています。日本語の製品ページと購入ページには「字幕」という語が見当たらず、日本語の公式では字幕の機能を確認できなかったためです。
CapCut も候補に挙がりやすいツールですが、PC 版の制限と日本語対応を公式で確かめられなかったため、この記事では比べていません。評価の考え方は運営方針・評価基準にまとめています。料金と無料版の上限の数字は、それぞれを詳しく扱った記事に任せ、ここでは繰り返しません。
字幕は「起こす」工程と「載せる」工程に分かれる
字幕作成ツールを「字幕が付けられるか」でひとまとめに比べると、判断を誤りやすくなります。字幕づくりは、音声を聞き取って文字とタイミングを作る工程と、できた字幕を動画に載せる工程の2つに分かれるからです。ツールによって、どちらを受け持つかが違います。
公式の記載から、3つの守備範囲を並べると次のようになります。
- 無料の自動字幕(YouTube Studio・Vrew の Free) … 起こす側。YouTube Studio は、YouTube にアップロードした動画に字幕を自動で付け、日本語にも対応しています。Vrew の Free は、透かし入りなら字幕を載せた動画の書き出しまでできます
- Filmora … 起こす側と載せる側の両方。自動字幕起こしで字幕を作り、編集ソフトとして動画に載せて書き出せます
- VideoProc Converter AI … 載せる側。SRT・ASS・SSA の字幕ファイルを、焼き付け(ハードサブ)か切り替え可能な字幕(ソフトサブ)として動画に入れます。音声から字幕を作る機能は、英語の製品ページにも記載がありません
この分け方をすると、「VideoProc Converter AI で字幕を作りたい」という探し方が噛み合わないことが分かります。
逆に、字幕ファイルを別の手段で用意できる人なら、組み合わせが取れます。起こす工程は無料のツールで済ませ、載せる工程を別のツールに任せる形も取れます。VideoProc Converter AI の機能の全体はできることの記事で整理しています。
2つの工程をつなぐのは、SRT などの字幕ファイルです。起こす側のツールが字幕ファイルを書き出せるかどうかで、組み合わせの自由度が決まります。どのツールが書き出せるかは比較表の「対応形式・書き出し」の行のとおりで、公式に SRT の書き出しを確認できたのは Filmora だけでした。
自動で起こした字幕は、載せる前にテキストの段階で直す
自動字幕は、出てきたものをそのまま公開できる前提では選ばないほうが安全です。YouTube のヘルプにも、自動字幕は品質にばらつきが出る可能性があると書かれています。動画が長すぎると生成されないことがあるとも書かれていますが、何分から長すぎるのかは記載がありません。
直すタイミングは、動画に焼き付ける前です。ハードサブとして焼き付けた字幕は映像の一部になるため、誤字にあとから気づくと書き出しからやり直しになります。字幕ファイルの段階で直しておけば、直したファイルを載せ直すだけで済みます。
公式に書かれている機能だけで組める手順は、たとえば次のとおりです。
- Filmora の自動字幕起こしで字幕を作り、SRT として書き出す
- SRT ファイルを開き、固有名詞や数字の聞き違いを直す
- 直した SRT を Filmora に読み込み直して書き出すか、VideoProc Converter AI でハードサブ・ソフトサブとして載せる
翻訳字幕は、確認の手間がさらに増えます。聞き違いがそのまま訳されると、訳文だけを見ても誤りの原因が分かりにくいためです。翻訳まで自動で済ませる場合は、元の言語で何と聞き取られたかを確かめられる状態で見直すのが無難です。
Filmora の公式の機能ページには、精度についての自社の説明もあります。ただし条件の分からない数字なので、この記事では判断材料にしていません。自分の素材でどれだけ直す手間が出るかは、短い動画で一度試してから見積もるほうが確実です。
素材の長さ・言語・字幕ファイルの有無で行き先を分ける
ここまでの整理を、読者の条件から行き先を決める表にまとめました。見る順番は「字幕ファイルがもうあるか」→「日本語だけか、翻訳が要るか」→「素材の長さと出す場所」です。
表には、公式に書かれている機能と条件だけを入れています。無料版の上限や料金の額は変わりやすいため、右端の記事で確かめてください。
| あなたの条件 | 行き先 | 公式の記載から言える理由 | 上限・料金の確認先 |
|---|---|---|---|
| 字幕ファイルなし/日本語のみ/YouTube に上げる動画 | YouTube Studio の自動字幕 | 日本語に対応し、追加料金の記載がない。品質にばらつきが出る可能性の注意書きあり | YouTube ヘルプ |
| 字幕ファイルなし/日本語のみ/YouTube 以外(SNS・社内)で使う/透かしが入ってもよい | Vrew の Free | 音声分析で字幕を作れる。月ごとのクレジットと音声分析の上限があり、Free は透かしあり | Vrew 料金ページ |
| 字幕ファイルなし/日本語のみ/透かしが困る、または Vrew Free の上限に収まらない | Filmora(または Vrew の有料プラン) | Filmora の自動字幕起こしは分単位でクレジットを消費し、素材が長いほど消費が増える | Filmora 無料版の制限と有料版の違い |
| 字幕ファイルなし/翻訳字幕が要る | Filmora(Vrew の Free にも翻訳あり) | Filmora は23の言語に翻訳でき、字幕起こし+翻訳は分単位でクレジットを消費 | Filmora 無料版の制限と有料版の違い |
| 字幕ファイルあり/動画に載せるだけ/素材が短い | VideoProc Converter AI の無料版 | SRT・ASS・SSA をハードサブ・ソフトサブで追加できる。無料版は長さの条件つき(意味は要確認) | VideoProc Converter AI 無料版の制限 |
| 字幕ファイルあり/長い素材に繰り返し載せる | VideoProc Converter AI の製品版 | 無料版の長さの条件を外す必要がある | VideoProc Converter AI の料金の総額比較 |
| 字幕ファイルあり/カットなどの編集も一緒にする | Filmora | SRT・ASS を読み込み、編集と一緒に書き出せる | Filmora 無料版の制限と有料版の違い |
最初に字幕ファイルの有無を見るのは、ここで候補が半分に減るからです。
Filmora と VideoProc Converter AI の両方が候補に残った場合は、編集をするかどうかで分けるのが分かりやすい基準です。2製品の全体の違いはFilmora と VideoProc Converter AI の比較にまとめています。
月に何本・1本何分付けるかで、有料を考える境目が動く
字幕の費用は、本数よりも「分」で効いてきます。Filmora は自動字幕起こしを1分あたりのクレジットで数え、Vrew の Free は音声分析を月あたりの分数で区切っているためです。有料を考える前に、月に字幕を付ける動画の合計分数(本数×1本の長さ)を出しておくと判断が早くなります。
Filmora で月に要るクレジットは、次の式で見積もれます。
- 字幕を起こすだけ … 月の合計分数 × 4クレジット
- 起こして翻訳もする … 月の合計分数 × 5クレジット
出た数を、プランごとに付く AI クレジットの量と比べます。プランによって毎月付くのか一度きりなのかが違うため、その量と使い切ったときの考え方はFilmora 無料版の制限と有料版の違いの AI クレジットの節に任せます。
Vrew の Free で済むかは、月の合計分数が音声分析の月の上限(上の比較表の値)に収まるかと、透かしを許容できるかの2点で決まります。透かしの削除は、料金ページで Light(年¥15,200)の特典として挙げられています。分数が収まっていても、人に渡す動画で透かしが困るなら、そこが有料を考える境目になります。
載せる側の VideoProc Converter AI は、合計分数より「1本の長さ」で効きます。無料版の長さの条件に収まる短い動画だけを扱うなら、買わずに済む可能性があります。長い素材に繰り返し字幕を載せるなら製品版が前提で、永久ライセンスと年間プランのどちらが安いかは料金の総額比較で台数と年数から決められます。
よくある質問
VideoProc Converter AI だけで字幕を自動で作れますか?
英語の製品ページの字幕機能の説明に、音声から字幕を自動生成する記述はありませんでした。できるのは、外部の字幕ファイル(SRT・ASS・SSA)の追加、字幕トラックの有効・無効の切り替えと抽出、字幕のオンライン検索です。字幕ファイルを持っていない場合は、YouTube Studio や Filmora のような起こす側のツールと組み合わせることになります。
Filmora の無料体験版で自動字幕起こしは試せますか?
機能ページの FAQ では、無料で使えるかという問いに「この機能はAIクレジットを使用します」と答えています。無料体験版で何分ぶん試せるかは公式に記載がなく、未確認です。初回ログイン時のボーナスクレジットを体験版でも受け取れるかも未確認なので、プランごとのクレジットはFilmora 無料版の制限と有料版の違いで確かめてください。
YouTube の自動字幕をダウンロードして他のソフトで使えますか?
YouTube のヘルプには、「オプション」→「字幕をダウンロード」で字幕を保存する手順が書かれています。ただし、保存される形式が SRT かどうかは確認できませんでした(未確認)。他のソフトで使えるかは、保存したファイルの形式と、読み込む側の対応形式(Filmora は SRT・ASS、VideoProc Converter AI は SRT・ASS・SSA)を照らし合わせて判断してください。
ハードサブとソフトサブは、どちらで載せればいいですか?
ハードサブは字幕を映像に焼き付ける方法で、再生する側が字幕トラックに対応しているかを気にせずに済みます。その代わり、あとから字幕を消したり直したりはできません。ソフトサブは字幕を別のトラックとして動画に入れる方法で、見る側が表示を切り替えられます。
出す先で字幕を必ず見せたいならハードサブ、言語ごとに字幕を切り替えたいならソフトサブ、という分け方が目安です。VideoProc Converter AI はどちらにも対応していると英語の製品ページに書かれています。
